施設庁の騒音対策用エアコン、大幅単価下げで騒動に

施設庁の騒音対策用エアコン、大幅単価下げで騒動に
 防衛施設庁が騒音対策として基地周辺の住民に補助しているエアコン購入費について、同庁が3年間、単価を見直さなかったため、実勢価格との間にずれが生じ、財務省から2度にわたって改善を求められていたことが20日、わかった。

 今年度、実勢価格に合わせて約4割も下げたため、エアコン取り付け業者は「仕事をすれば赤字」と反発し、住民との契約を一時拒否するケースも出ている。

 問題の事業は、自衛隊や米軍の航空機騒音で窓を閉め切らざるを得ない住民にエアコン購入費を全額、または9割補助するもので、住民が業者と契約し、設置された段階で国が業者に代金を支払う。

 同庁は2003年、市場調査を行って単価を決めたが、04、05年は担当者が「インターネットなどの情報から市場動向を見ていた」(同庁)だけで、単価は精査せずに03年から3年間、据え置いた。空調機市場はこの数年、デフレなどの影響で値下がり傾向にあり、財務省は03年の予算執行調査で「単価が市場価格より高い」と指摘。昨年6月の調査でも「直近の単価が反映されていない」と改善を促した。

 同庁は今年4月に市場調査を行い、実勢価格をもとに、6畳用を7万円から3万8400円(45%減)に、8畳用を7万6500円から4万6200円(40%減)とするなど、平均で前年より約4割減となる今年度の単価を決めた。

 一方、業者は6月末、「なぜ大幅に切り下げるのか」と反発。住民との契約を一時拒否する業者が現れた。各施設局は、住民に「業者が契約に応じない場合、別の業者を選定して下さい」とする異例の文書を送付。福岡防衛施設局では、大型量販店に協力要請し、業者から契約を断られた住民に紹介する対応を迫られた。

 全国の業者でつくる「全国基地周辺住宅防音工事協力会」(神奈川県大和市)によると、最も対象世帯の多い厚木基地周辺では、例年8月から始まる工事が、今年は11月にずれ込んだケースもあるという。

 同庁は「業者の理解は得られたと考えている。今年の単価は適正だが、来年度も市場調査し、適正な価格を追求していきたい」と話している。