宮崎県の官製談合事件

 宮崎県の官製談合事件で、県農政水産部の幹部が、前出納長の江藤隆容疑者(63)(競売入札妨害容疑で逮捕)から「ヤマト設計」(東京)に業務を受注させるよう頼まれたと、県警の事情聴取で説明していることが9日、わかった。

 農政水産部は、部長が逮捕された土木、環境森林両部と合わせ、公共事業の発注を担当する「公共3部」と呼ばれ、事業の9割以上を発注。このことから、県警は、前知事の安藤忠恕(ただひろ)容疑者(65)が江藤容疑者を通じ、県発注業務の大半でヤマト設計の落札を働きかけたとみて、解明を進めている。

 県によると、ヤマト設計が農政水産部発注の業務の入札で指名に入ったのは昨年度が3件、今年度も3件だった。6件は県営農地保全整備事業、農免農道整備事業などの設計業務で、同社が落札したケースはなかった。

 県警の調べに対し、農政水産部の幹部は「昨年、江藤容疑者から『ヤマト設計を頼む』と言われ、発注業務の指名競争入札で指名に入れることを検討した」などと説明しているという。

 また、今春まで土木部次長だった藤本坦(ひろし)容疑者(59)(逮捕時は土木部長)も、江藤容疑者の依頼を受け、土木部で発注可能な業務を調査するように部下に指示。環境森林部長税所篤三郎(さいしょ・あつさぶろう)容疑者(58)も「今春、安藤容疑者から『ヤマト設計を頼む』と言われ、同社に落札させるよう土木部幹部に指示した」と供述している。

 この結果、同社は昨年度、土木部発注事業で28件の指名に入り、うち9件を落札している