宮崎県知事、週内にも強制捜査…出納長通じ「天の声」

宮崎県知事、週内にも強制捜査…出納長通じ「天の声」
 宮崎県の官製談合事件で、県警は2日、安藤忠恕(ただひろ)知事(65)が、二本木(にほんぎ)由文容疑者(56)が社長を務めるヤマト設計(本社・東京)に落札させるよう、県出納長の江藤隆容疑者(63)らに指示していたとの疑いを強め、週内にも競売入札妨害(談合)容疑で安藤知事の強制捜査に乗り出す方針を固めた。

 調べによると、安藤知事は江藤容疑者や二本木容疑者ら計12人と共謀。昨年11月に宮崎土木事務所(宮崎市)が発注した県道災害復旧事業の橋梁(きょうりょう)設計の入札で、江藤容疑者に「ヤマト設計に仕事を取らせてやって」と指示し、ヤマト設計に落札させた疑いが持たれている。

 県警はこれまでに12人を逮捕。江藤容疑者の供述などから県政トップの主導による官製談合だったとみて、知事への強制捜査が不可避と判断した。

 また、安藤知事は県環境森林部幹部にも「天の声」を発し、この幹部を談合の仲介役にしてヤマト設計の落札に便宜を図った疑いが浮上し、県警はこの幹部についても別の業務を巡る談合容疑で一両日中に強制捜査する。

 安藤知事は2日、知事公舎前で記者団に対し、二本木容疑者から受注要求があったことは認めたが、「公舎や知事室で会ったが、仕事の話をするので警戒していた。出納長らが二本木容疑者に便宜を図った理由を聞きたい」と関与を否定した。

 県環境森林部幹部が仲介役となった疑いのある談合について、県警は、土木部次長の柴岡博明容疑者(58)の供述などから、高岡土木事務所(宮崎市)発注の設計業務を巡るものだったとみている。この入札は7月20日、5社が参加し、ヤマト設計が1280万円で落札した。

 この幹部は読売新聞の取材に「特定の業者に落札させるよう指示したことはない。業者からあいさつを受けただけでも怪しまれるので、業者は自分の部屋に入室させないようにしている」と話している