豚肉輸入で過去最高130億円脱税、東京地検立件へ

豚肉輸入で過去最高130億円脱税、東京地検立件へ
 食肉卸大手「協畜」(愛媛県四国中央市)などが2004年11月ごろまでの約1年半に、国産豚肉の保護を目的とした「差額関税制度」を悪用し、輸入豚肉にかかる関税約130億円を脱税していたことが、関係者の話で分かった。

 東京地検特捜部は東京税関と合同で、同社の元社長ら数人について関税法違反(脱税)容疑での立件に向け、詰めの捜査を進めている。不正輸入は1400回以上繰り返され、脱税額は史上最高に上る。制度を逆手に取った巨額脱税の発覚で、制度自体のあり方も問われることになりそうだ。

 関係者によると、協畜は03年春ごろから、東京都中央区の食肉輸入会社などとともに、デンマークから冷凍豚肉を輸入した際、1キロ当たりの輸入価格を実際より約300円高く偽って税関に申告、輸入価格が一定の価格を下回った場合にかかる差額関税約130億円を免れていた。こうした不正輸入は、04年11月ごろまでに1400回以上行われていたという。

 輸入の際は、書類上、韓国か台湾の食肉会社を経由させた形にして、この2社が豚肉の価格を高く偽った仕入れ書を発行。輸入された豚肉は、複数の食肉卸会社を経由して協畜に納入された。

 東京税関は04年11月に協畜や食肉輸入会社など関係先を一斉捜査。協畜の元社長らは、脱税への関与を認めている。差額関税制度は、安価な豚肉が輸入されないよう、国内価格を参考にした基準価格を設定し、これを下回る場合は、差額分を関税として徴収する仕組み。輸入価格が低ければ低いほど高い関税がかかる。

 所得税法人税なども含めた脱税事件では、昨年5月の食肉卸「フジチク」(名古屋市)グループによる差額関税の脱税約62億円が過去最高だった。