名古屋市の下水道談合で大林組元顧問ら5人逮捕

名古屋市の下水道談合で大林組元顧問ら5人逮捕

 名古屋市発注の下水道工事で落札業者を事前に決めて受注調整したとして、名古屋地検特捜部は8日、談合容疑で、大林組名古屋支店の元顧問、柴田政宏容疑者(70)=岐阜県多治見市=ら4人を逮捕、元副支店長の小林恵二容疑者(58)=別の談合罪で公判中=を再逮捕した。

 柴田容疑者は小林容疑者の上司。長年、東海地方の公共土木工事の談合を仕切ったとされ、特捜部は恒常的に談合が行われていた疑いもあるとみて実態解明を進める。

 ほかの逮捕者は新井組兵庫県)名古屋支店の当時の営業1部長、鷲津光一(55)▽地崎工業(札幌市)名古屋支店の営業部長、仙波健一(58)▽同営業部副部長、佐藤孝一(52)−の3容疑者。

 調べでは、5人は共謀し昨年2月中旬から3月上旬、大林組名古屋支店などで、名古屋市中川区の下水道工事を、同3月9日開札の一般競争入札新井組に落札させるほか、同様に希望した地崎工業は入札に参加せず、新井組と裏で共同企業体(JV)を組むことを決め、談合した疑い。

 各社の応札額は鷲津容疑者が指定。新井組の落札額は3億4500万円(落札率97%)だった。鴻池組大阪市)など応札した19社のほとんどが特捜部の任意聴取に談合を認めた。

 聴取を受けた40社以上の担当者の多くが、柴田容疑者らがトップで談合を取りまとめる構図を証言したという。

 柴田容疑者は名古屋市内で入院中だったが、特捜部は拘置に耐えられると判断し、病室も捜索。柴田、小林両容疑者は今年9月に大林組を退社した。

 大林組広報室は「名古屋市発注工事で、元顧問らが逮捕されたことは誠に遺憾。状況が把握できないので、コメントは差し控えたい」としている。