福島県前知事、収賄容疑認める 土地取引「受注の謝礼」

福島県前知事、収賄容疑認める 土地取引「受注の謝礼」
2006年11月02日03時02分
 福島県発注のダム工事をめぐる汚職事件で、同県前知事の佐藤栄佐久容疑者(67)が、東京地検特捜部の調べに対し、わいろとされた土地取引について、「工事受注の謝礼だった」などと、収賄容疑を認める供述を始めていたことが、関係者の話でわかった。前知事はこれまで容疑を一貫して否認していたが、供述を一変させた。特捜部は、前知事がダム工事の受注調整に関与した実態や、見返りの土地取引を認識した経緯などについて、さらに解明を進める。

 前知事の実弟で縫製会社「郡山三東スーツ」前社長の佐藤祐二容疑者(63)も、土地取引を受注謝礼と認識し、前知事に報告したなどと既に供述。受注調整や土地取引を行っていた実弟が前知事の関与を認めたことで、前知事も容疑を認める姿勢に転じたとみられている。

 準大手ゼネコン「前田建設工業」などの共同企業体は、同県が00年8月に入札を行った木戸ダム建設工事を受注。同社は02年、前社長らによる受注調整の謝礼として、下請けの「水谷建設」に指示し、三東スーツが同県郡山市内に所有していた工場用地を購入させた。わいろとされたこの土地取引以外にも、水谷建設が99年に三東スーツの別の土地を購入したり、前田建設工業とその子会社が01年に三東スーツに計4億円を融資したりしていたことも判明した。

 前知事は逮捕前、朝日新聞の取材に対し、「三東スーツの経営には関与していない。土地売却も知らなかった」と話していた。逮捕後の調べでも「納得がいかない」などと否認していたという。

 前知事は三東スーツの大株主で、土地取引の3カ月前の02年5月まで同社取締役を務めた。