ダム受注の謝礼 福島前知事弟が「わいろ性」認める

ダム受注の謝礼 福島前知事弟が「わいろ性」認める

 福島県発注の木戸ダム工事をめぐる汚職事件で、前知事、佐藤栄佐久容疑者(67)の実弟、佐藤祐二容疑者(63)が東京地検特捜部の調べに、わいろとされた贈賄側(時効成立)との土地取引について「ダム工事受注の謝礼として高値で購入してもらった」と、受注調整の謝礼だったことを認める供述を始めたことが30日、関係者の話で分かった。祐二容疑者が容疑の一部を認めたことで、土地取引のわいろ性が一段と強まった。

 一方、佐藤容疑者は「弟から『土地を売るかもしれない』と言われたが、いつ、だれに、いくらで売ったなんて報告はなかった」と容疑を全面否認している。

 これまでの調べでは、佐藤容疑者は祐二容疑者と共謀、県が平成12年8月に発注した木戸ダム建設工事について、前田建設工業などの共同企業体(JV)が受注できるよう便宜を図った見返りに14年8〜9月、祐二容疑者が経営する衣料メーカー「郡山三東スーツ」の工場跡地を、下請け受注した水谷建設時価を超える約9億7000万円で購入させた疑い。

 関係者によると、贈賄側の前田建設相談役(74)と水谷建設元会長の水谷功被告(61)は入札前の11年秋ごろ、元県土木部長(70)と鹿島東北支店元幹部と仙台市内で会合を持ち、木戸ダム工事の落札予定社を前田建設に決めた。

 この報告を受けた祐二容疑者は、当時の県土木部長(65)に連絡するなど受注調整に関与。部長は入札参加要件を緩和し、前田建設など3社によるJVが入札に参加できるようにした。

 祐二容疑者は当初、土地取引について「通常の商取引だった」と容疑を否認していたが、最近になって「前田建設がダム工事を受注した謝礼として、水谷建設に土地を購入するよう指示してくれた」などと供述した。

 ただ、佐藤容疑者が受注の際に業者側に便宜を図ったことなどは、否認しているという。