和歌山談合 井山容疑者、出納帳と事前調整か

和歌山談合 井山容疑者、出納帳と事前調整か

 和歌山県発注工事をめぐる談合事件で、逮捕容疑となった平成16年11月入札のトンネル工事1件を準大手ゼネコン・ハザマの共同企業体(JV)が受注することについて、ゴルフ場経営会社元社長の井山義一容疑者(55)=競売入札妨害容疑で逮捕=が県出納長の水谷聡明容疑者(60)=同=に直接連絡を取り、事前調整を行っていた疑いが強いことが14日、大阪地検特捜部の調べでわかった。

 両者による調整が濃厚になったことで、ハザマ側の意向を受けた井山容疑者が談合の仕切り役だった大林組幹部と水谷容疑者に依頼、大林組幹部が水谷容疑者から了承を得る一方で、地元業者をJVに組み込むよう要請を受けるという「相関関係」が鮮明になった。

 これまでの調べなどでは、ハザマ関係者は今年7月に別の事件で特捜部の強制捜査を受けた際には、井山容疑者に支払った5900万円について「工事を受注できるよう和歌山県への口利きをお願いした。その謝礼」と供述していたという。

 一方、大林組幹部は当初、2件のトンネル工事をハザマと東急建設の2JVに落札させたいとの井山容疑者の依頼に難色。しかし、井山容疑者の再三にわたる要請に、水谷容疑者と調整済みであると思い承諾。2JVに受注させることを水谷容疑者に電話で伝え、了承を得ていたとされる。

 大林組幹部は特捜部の任意の事情聴取に、談合の事実について認めたうえで、こうした経緯を詳細に説明。逮捕されたハザマ側の3人のうち2人は談合容疑を認めているという。一方、井山、水谷両容疑者は談合への関与を全面否定。特捜部は今後、裏付け捜査を慎重に進めるとともに、ハザマが井山容疑者に支払った5900万円の流れや趣旨についても追及する。