欠陥住宅全戸に補償、故意・重過失にも…国交省方針

欠陥住宅全戸に補償、故意・重過失にも…国交省方針
耐震強度偽装
 国土交通省は、元1級建築士姉歯秀次被告(49)らが起こした耐震強度偽装事件のように、故意の犯罪で生じた欠陥住宅の購入者についても、補修や建て替え費用を救済する方針を固めた。

 同省が近く住宅会社などに加入を義務化する欠陥保険では、故意や重過失による欠陥は補償対象外となっている。このため同省は、現在は財団法人「住宅保証機構」が運用している基金に対し一定額を出資するよう、住宅会社などに義務付け、規模を拡大した同基金を救済資金に充てて、欠陥住宅購入者を全面救済することで、「泣き寝入り」する事態を防ぐ方針だ。

 事件を受けて国交省は、「ヒューザー」のように欠陥住宅を販売しながら破産し、10年間の「瑕疵(かし)担保責任」を履行できない場合に備え、住宅会社などに「欠陥保険」への加入などを義務付ける関連法案を来年の通常国会に提出する。しかし欠陥保険は、悪質性の低い設計ミスや施工ミスによる欠陥だけ補償し、設計者らの故意や重過失で生じた欠陥は対象外となっている。

 このため国交省では新たに、財団法人「住宅保証機構」が運営している「瑕疵保証円滑化基金」を、故意による欠陥住宅購入者の救済資金に充てることにした。現在、同基金は約87億円(うち国出資分約36億円)だが、欠陥保険に加入する業者すべてに一定額の出資を義務付け、基金を大幅に積み増しする方針だ。救済割合や上限額については今後、検討する。

 一方、設計や施工に一定の実績がある大手業者の場合、「掛け捨て」となる保険加入や基金拠出に不満が出ることが予想される。このため同省では、保険加入と基金拠出のかわりに、大手業者などがトラブルに備えてあらかじめ資金を法務局に委ねる「供託」制度も導入し、活用を働きかけていく方針だ。