旧五菱会系資金、米が没収 60万ドル、被害者救済に壁

旧五菱会系資金、米が没収 60万ドル、被害者救済に壁  2006/10/07 18:44
 指定暴力団山口組系旧五菱会(現2代目美尾組)のヤミ金融事件で、“ヤミ金の帝王”と呼ばれた元幹部梶山進受刑者(57)が、マネーロンダリング資金洗浄)のためロサンゼルスやラスベガスに持っていた資金約60万ドル(約7100万円)が米政府に没収されたことが、7日までに分かった。

 ヤミ金融による犯罪収益については、同事件をきっかけに、日本への返還と被害者への分配を可能にする法整備が6月に実現、改正法が今年中に施行の見通し。だが米政府は今回「没収資金は今後の連邦捜査機関の活動費となる」としており、洗浄用資金の主要流入先である米国のこうした方針は、同様の事件被害者救済に壁となりそうだ。

 警察庁と連携し資金の流れを解明してきた国土安全保障省の米移民・税関捜査局によると、梶山受刑者はロサンゼルスの「ユニオン・バンク・オブ・カリフォルニア」の2口座に計約34万2000ドル、ラスベガスの「MGMグランド・ホテル・アンド・カジノ」の口座に計約25万ドルを所有していた。

 米政府は資金が無申告で持ち込まれた疑いが強い上、日本で梶山受刑者が2003年に逮捕された事実などに基づき、昨年1月、これら3口座を凍結。銀行やラスベガスのカジノ運営を監督する「ネバダ・ゲーミング・コミッション」とも協議の上、資金を没収し国庫編入を決めた。

 米国ではテロ組織対策や資金洗浄に関する法令に基づき、海外の犯罪で発生した米国内の財産没収ができるが、同捜査局当局者は共同通信の取材に対し、具体的法的根拠を明らかにしていない。