「県幹部が受注先指定」 和歌山談合でゼネコン側供述

「県幹部が受注先指定」 和歌山談合でゼネコン側供述
2006年10月06日06時34分
 和歌山県が発注した4件のトンネル工事をめぐる談合事件で、入札に参加した複数のゼネコン担当者が、4件のうち準大手ゼネコンのハザマと東急建設共同企業体(JV)がそれぞれ受注した2件の工事について「県幹部から受注業者の指名があった」と供述していることが5日、関係者の話でわかった。県幹部は、談合を取り仕切ったとされる大手ゼネコンの大林組の幹部(64)に受注業者名を伝えたという。大阪地検特捜部もこうした内容を把握しているとみられる。

 受注業者を指名したとされるのは県の最高幹部の一人。トンネル工事を舞台にした談合事件が「天の声」による「官製談合」だった疑いが強まった。受注した2JVは平均99%という高い落札率(予定価格に占める落札額の割合)で工事を受注しており、県政の責任問題に発展することは必至だ。

 調べでは、談合容疑の対象となっているのは04年11月に入札が実施された4件のトンネル道路改良工事。14JV42社が参加し、それぞれ大林組、ハザマ、東急建設奥村組の4ゼネコンが中心となったJVが落札した。入札の数日前、大林組幹部から残りの3JV側に受注業者に内定したことを知らせる連絡があり、3JV側がこの結果をそれぞれの入札参加業者に知らせて応札額などを決めたとされている。

 関係者によると、大林組幹部は3JV側に受注の内定を伝える前に県幹部と協議。県幹部は「国道371号(仮称・平瀬トンネル)特殊改良一種工事」(予定価格約11億7700万円)をハザマのJVに、「国道168号(仮称・切畑トンネル)道路改築工事」(同約11億9500万円)を東急建設のJVに受注させるよう告げたという。落札率は平瀬トンネル工事が99%、切畑トンネル工事が98.6%だった。残りの2工事の受注業者については、業界側が決めたとみられている。

 ハザマは受注が決まった後、県の公共工事に強い影響力を持つとされる大阪府河内長野市のゴルフ場経営会社元代表(55)に5900万円を提供し、東急建設も02年に受注した別の県発注工事をめぐって元代表に2000万円を支払った疑いがあることがすでに判明している。

 元代表はゴルフ場経営などを通じて同県内に幅広い人脈を築き、県職員や県の要職を歴任したOBらと親交があるとみられており、特捜部は、元代表と、「天の声」を発したとされる県幹部との関係について慎重に調べを進める。