日本スケート連盟を舞台にした背任事件で、元会長の久永勝一郎容疑者

日本スケート連盟を舞台にした背任事件で、元会長の久永勝一郎容疑者(75)が連盟の会計をチェックする「監事」にも裏金を配っていたことが4日、警視庁捜査2課の調べなどで分かった。裏金は2系統で支出されたとされ、捜査2課は裏金を独断で渡していた久永容疑者が一連の不明朗会計が問題化することを防ごうと、不正分配したとみている。

 久永容疑者は業務委託先のイベント会社に経費を水増しして請求させ、差額をキックバックさせる形で裏金を作っていたとして逮捕された。平成12年から16年までの4年間で4000万円の裏金を作り、うち約1000万円を私的流用し、残る3000万円を一連の不明朗会計の舞台となった「国際事業委員会」の理事十数人に通信費などの名目で分配したが、その後の調べで、不正をチェックする監事ら、国際事業委以外の連盟関係者にも裏金を渡していたことが新たに判明した。

 さらに、久永容疑者は水増し請求で作った4000万円とは別に、会長就任直後の10年から12年にかけ、別の取引企業との帳簿を操作する手口で捻出(ねんしゅつ)した2300万円の裏金からも監事に分配していたという。

 連盟は2300万円については、通信費名目で理事など12人に支出されたと公表。今年6月には受領した当時の理事8人の辞任劇に発展したが、残る4人については詳細を明らかにしていない。

 連盟元幹部によると、2300万円の問題が明らかになった際、ある監事経験者は「おれも返さなくちゃ」と話していたという。この元幹部は「久永容疑者は監事にも金を渡すことで、一連の不明朗会計を口封じしようとした」と指摘している