福島疑惑 融資1億円は無担保 前田建設の指示か

福島疑惑 融資1億円は無担保 前田建設の指示か

 福島県発注の木戸ダム建設工事をめぐり、佐藤栄佐久前知事(67)にゼネコン2社が利益提供したとされる疑惑で、同工事を下請け受注した水谷建設が平成14年9月に前知事実弟、佐藤祐二容疑者(63)の経営会社に提供した1億円が、無担保融資だったことが2日、関係者の話で分かった。水谷建設は半年後、祐二容疑者の別の経営会社が所有していた土地の購入代金を1億円上積みすることで融資と相殺していたが、無担保だったことで利益提供の疑いが強まった。

 東京地検特捜部もこうした事実を把握。佐藤前知事がゼネコン2社と親族企業の不透明な融資や土地取引を認識していたか、祐二容疑者らを追及するなどして捜査を進めているもようだ。

 関係者によると、水谷建設は14年8月28日、祐二容疑者が社長を務める「郡山三東スーツ」(福島県本宮町)の工場跡地(郡山市)を約8億7000万円で購入した。祐二容疑者は「10億円で買ってほしい」と要望していたが、水谷建設は翌9月30日、不足分の1億円を工場解体費名目で、祐二容疑者が経営していた有限会社「オックスフォード」(今年3月清算)に融資。これが無担保だった。

 その後、跡地に建つ予定の商業施設のテナント料を増額できるとの理由から、水谷建設は15年2月28日に土地の購入代金を1億円増額し、翌3月3日にオックスフォードが1億円を返済した。

 水谷建設は12年8月、前田建設工業を幹事とする共同企業体が木戸ダム本体建設工事を約206億円で受注した際、掘削工事などを下請け受注していた。水谷建設元会長の水谷功被告(61)は特捜部の調べに「一連の土地取引は前田建設の指示に従った」などと説明していることから、1億円の無担保融資や土地購入代金の増額も前田建設からの指示だったとみられる。

 前田建設は木戸ダム工事を元請けした後の13年3〜7月、子会社とともにスーツ社の工場跡地を担保に計4億円を融資。水谷建設がその土地を購入した当日に返済されている。前田建設幹部も特捜部の任意の事情聴取に「佐藤前知事への謝礼として水谷建設に土地を購入させた」などと供述していることがすでに判明している