公金含む5千万円、山分け 愛知・稲沢市職員互助会

公金含む5千万円、山分け 愛知・稲沢市職員互助会
2006年10月02日08時03分
 愛知県稲沢市から補助金を受けている市職員互助会が、周辺2町と合併直前の05年3月、互助会の04年度予算の一部(5149万円)を、会員である当時の市職員1185人全員に分配していたことがわかった。額は1人当たり平均約4万3000円。互助会事務局の市人事課は「合併を控え、いったん互助会を解散し予算を清算するため、会員に還元した」と説明している。だが、互助会の予算には公費が投入されており、総務省や市民オンブズマンから疑問の声が上がっている。

 市人事課によると、当時、市職員は基本給の0.4%を互助会の会費として毎月支払う一方、市はその1.5倍の額を互助会に補助していた。04年度決算では、会費は約1740万円、補助金は約2610万円。

 互助会は04年度まで、退職者に在籍年数に2500円を乗じた額を支給してきた。今回のような解散に伴う清算については規則がなく、急きょ特例を設け、「退会給付金」を在籍年数に応じて支給。支給額は退職者への支給と同様に計算し、05年3月末、全職員の口座に振り込んだ。

 税金が含まれた互助会の予算を分配したことについて、市人事課は「適切な処理だった」と説明している。

 しかし、総務省福利課も「公務員は国民に対しての奉仕者であり、信頼が根底にある。稲沢市の場合、市民に説明できるのか、理解が得られるのかという点で問題があるのではないか」。名古屋市オンブズマンの新海聡弁護士は「出資割合に応じて市に戻すのが常識。公費への意識がマヒしており、不当だ」と指摘する。

 公費での補助自体は地方公務員法で認められているが、その補助金を含む予算を会員に分配することを、法律で直接規定した条文はない。民事で不当利得返還を請求される可能性はあるという。