前知事弟側に融資1億、「前田」が指示…水谷被告供述

前知事弟側に融資1億、「前田」が指示…水谷被告供述
 佐藤栄佐久・前福島県知事の実弟、佐藤祐二容疑者(63)の経営する紳士服会社「郡山三東スーツ」が、中堅ゼネコン「水谷建設」から融資名目で受けた1億円について、同社元会長の水谷功被告(61)が東京地検特捜部の調べに、県発注の木戸ダム建設工事を元請け受注した準大手ゼネコン「前田建設工業」の指示だったと供述していることが、関係者の話で分かった。

 水谷建設は同工事を下請け受注している。特捜部では、受注の見返りに、前田建設工業水谷建設に指示して、祐二容疑者側に利益提供した疑いが強いとみて調べている。

 同工事は2000年8月、前田建設工業を幹事とする共同企業体が約206億円で落札。水谷建設は掘削工事などを下請け受注した。

 関係者によると、前田建設工業と子会社は01年3〜7月、スーツ社に対し、同社の本社跡地を担保に計4億円を融資。水谷建設も02年8月、この土地を約8億7000万円で購入、約1か月後に融資名目で1億円をスーツ社側に追加提供した。スーツ社は、水谷建設への土地売却代金で前田建設工業側に4億円を返済した。

 水谷被告は「前田建設工業から、4億円の融資を返済させるため土地を購入してほしいと持ちかけられた。1億円の融資も前田建設工業の依頼だった」と供述、これらが受注の見返りだったことも認めたという。前田建設工業幹部も、4億円の融資について「木戸ダム受注の謝礼の意味合いがあった」と供述している。