豚肉輸入100億脱税か 愛媛の業者捜査

豚肉輸入100億脱税か 愛媛の業者捜査

 大手食肉卸売会社「協畜」(愛媛県四国中央市)が、豚肉の輸入価格を税関に虚偽申告して関税を免れるなどした疑いがあるとして、東京地検特捜部と東京税関が協畜など数社を関税法違反(脱税など)の疑いで合同捜査していることが27日、関係者の話で分かった。東京税関は同法違反罪で特捜部に告発するとみられる。国産豚肉の保護を目的とした差額関税制度を悪用した「裏ポーク」事件は後を絶たないが、今回の脱税額は過去最高の100億円前後に上る見通しだ。

 関係者によると、協畜のダミー会社とみられる食品輸入会社は平成16年秋までの数年間、デンマークなどから豚肉を輸入。1キロ当たりの単価が差額関税制度の基準価格よりも数百円安かったのに、基準価格と同額以上とする虚偽の輸入価格を税関に申告させ、関税を免れた疑いが持たれている。

 協畜はダミー会社を使って主導的に脱税に関与していた疑いが浮上している。ただ食品輸入会社から約5社を経由して豚肉を購入しており、「裏ポーク」と知りながら豚肉を購入していた関税法違反(脱税品譲り受け)の可能性もある。

 脱税額は100億円前後に上る見通しで、昨年5月に会長らが逮捕された名古屋市の食肉卸売会社「フジチク」の脱税額約62億円を上回り、過去最高となる。

 東京税関は16年11月、協畜などの強制調査に乗り出し、特捜部と連携して巨額脱税疑惑の解明を進めてきた。すでに協畜幹部らから任意で事情聴取しており、税関への虚偽申告に関与したかなどについて説明を求めたとみられる。

 民間信用調査会社によると、協畜は昭和62年設立で資本金は3000万円。昨年5月期の売上高は約618億円。豚肉を主力に売り上げを伸ばし、13期連続で高額所得法人に名を連ねるなど成長企業として注目されている。

 差額関税制度をめぐっては、16年5月に日本ハムの子会社「南日本ハム」(宮崎県日向市)の幹部が摘発されたほか、昨年6月には伊藤ハムなどが関税約9億4000万円の支払いを免れたとして、同社幹部らが関税法違反罪で在宅起訴されている。

 協畜は「担当者がいないので分からない」としている。