福島ダム工事、奥村組から辻容疑者の親密会社に数千万

福島ダム工事、奥村組から辻容疑者の親密会社に数千万
 福島県が発注した多目的ダム「こまちダム」(福島県小野町)の建設工事で、受注した中堅ゼネコン「奥村組」(大阪市)が、生コンクリート仕入れに絡ませ、談合容疑で逮捕された空調設備管理会社社長・辻政雄容疑者(59)と親密な不動産管理会社に数千万円を提供していたことが、関係者の話で分かった。

 同社と実質一体の「酒井建設工業」(同県会津若松市)も、この工事の下請けに入っていた。東京地検特捜部では、奥村組からの資金が、県内公共工事の仕切り役とされる辻容疑者本人に渡った可能性があるとみて調べている。

 この工事は2003年8月、一般競争入札が行われ、七つの共同企業体(JV)が参加。奥村組と県内の建設会社のJVが23億6250万円で落札した。

 関係者によると、奥村組は、工事で使う生コンを県内の生コン会社から1立方メートル当たり8000円余りで仕入れることになった。

 ところが、代金は、奥村組から会津若松市の不動産管理会社「エスケーコーポレーション」を通じ、生コン会社に支払われた。奥村組からエスケー社には1立方メートル当たり1万1000円余りが払われており、差額の同約3000円がエスケー社にマージン(手数料)として入る仕組みだった。マージンは、納入された生コン約3万3000立方メートルの一部の代金に上乗せされ、少なくとも4000万円に上ったとみられる。

 エスケー社は酒井建設工業の社長が経営し、役員も重複するなど事実上一体。辻容疑者は、自宅の土地・建物をエスケー社から購入し、自身が社長を務める空調設備管理会社もエスケー社から業務を受注していた。辻容疑者が県内公共工事の談合を仕切った際には、見返りに懇意の業者を下請けに入れるよう受注業者に要求しており、特捜部では酒井建設工業が下請けに入った経緯も調べている。

 酒井建設工業は、特捜部の捜索を受け、社長も事情聴取されている。

 奥村組広報課は「捜査中で詳細は答えられない」とし、酒井建設工業は「全く分からない」としている。