岐阜県、「裏金減らす」目的で訴訟費用貸し付け制度

岐阜県、「裏金減らす」目的で訴訟費用貸し付け制度
 岐阜県庁の裏金問題で、裏金を原資に県職員組合に設けられた訴訟費用貸付制度について、制度を設けた組合の元幹部が、組合の調査に対し「(口座の裏金を)少しでも減らしたかった」と話していることが12日、わかった。

 同制度を巡っては、梶原拓前知事が約1050万円を借り入れ、現時点でも約700万円が未返済のまま。制度設立時の“動機”が、こうしたずさんな運営につながったとの指摘が出ている。

 この元幹部は、県の調査チームに対し、「組合員の生活を守るために制度を作り、裏金を充てた」と証言していた。ところが、職員組合の調査には、「(裏金を)少しでも減少させたいとの思いから、委員長と相談して裏金で貸付制度を設けることにした」と、これまでの証言を覆した。

 貸付制度を設けても、職員組合に移し替えられた裏金の総額が減少するわけではないが、最初に入金された口座などから、別の目的で金を動かすことで、裏金としての性格が薄まる、との思いがあったとみられる。

 調査チームによると、貸付制度は1998年度に職員組合に移し替えられた裏金の中から、約670万円を原資に設けられ、現在は約6000万円で運営されている。

 貸付制度はもともと、職務に関し訴訟を起こされた場合、弁護士費用などをまかなう目的で設けられた。敗訴や和解が確定した場合、返還することが定められているが、同組合では「制度の趣旨からも強制はなじまない」などとして、梶原前知事にも返済を求めることはしてこなかった。

 自治労岐阜県本部の三尾禎一委員長は「返還期限を規約上に明記しているのに、金の返還を求めないのは、運営がずさんと指摘されても仕方ない。利用も一部の人にとどまり、そもそも制度として成り立っていないのではないか」と指摘している。