関東ラグビー協会“オフサイド” 3億3000万円申告漏れ

関東ラグビー協会“オフサイド” 3億3000万円申告漏れ

 大学ラグビーなどのアマチュア大会を主催する任意団体「関東ラグビーフットボール協会」(東京都港区)が麻布税務署の税務調査を受け、課税対象の収益事業にすべき入場料収益を税務申告していなかったとして、平成17年3月までの5年間で、約3億3000万円の申告漏れを指摘されていたことが28日、分かった。同協会は、無申告加算税を含めて約1億1000万円を追徴課税された。人気カードの早明戦などで多額の利益があったことから「収益事業」と認定された。
 財団法人「日本ラグビーフットボール協会」(東京都港区)も昨年4月、社会人アマチュア試合の入場料収益について、同様に収益事業と認定された。ただ、赤字だったため追徴課税はなかったという。


 関東ラグビー協会はラグビー振興を目的とした団体。税法上は「人格のない社団」に該当し、公益法人に準じた扱いとなる。公益事業は課税されないが、収益事業には民間企業と同じ法人税を課せられる。


 関係者によると、同協会は関東地方以北の都道県のラグビー協会や連盟を所轄。主催する関東大学対抗戦やリーグ戦の入場料収入から、グラウンド使用料などを除いた利益については、協会と各大学の間で入場者数などに応じて分配している。こうした利益について、同協会は「アマチュアの試合で、公益事業にあたる」として税務申告していなかった。


 これに対して麻布税務署は昨年秋、税務調査を行い、公益法人納税の義務を負う収益事業の「興行業」と認定、申告漏れを指摘した。


 税法上、教育や社会福祉のための慈善興行や、学生などアマチュアを参加者とする興行で余剰金が生じた場合、所轄の税務署長の確認を受ければ公益事業と認定される。ただ、非課税となる興行は、出演者がすべてボランティアであり、収益金を社会福祉団体などに寄付することなどが条件だ。


 ところが、同協会の場合、人気カードの早稲田−明治戦では指定席が2500〜5000円と高額で多額な剰余金が生じたことから、興行業と認定されたもようだ。


 一方、日本ラグビー協会は、プロ契約選手などが所属するトップリーグ(社会人上位14チームのリーグ戦)の入場料収益を収益事業として申告していたが、他の社会人リーグなどアマチュアの試合の入場料収益は公益事業にしていた。しかし一昨年、麻布税務署の税務調査を受け、16年3月期までの3年間で、アマチュアの試合の入場料収益を興行業と認定された。事業としては赤字だったため追徴課税はなかったという。


 ▼関東ラグビー協会の話「税務署の指導があり、入場料の利益については協会で税金を支払った上で分配することにした」


 日本ラグビー協会の話「約5年前に所轄税務署の指導を受けて公益事業としてきたが、今回の調査でアマチュアの試合を含めてすべて収益事業と指摘された」