「ミツトヨ」核用測定機の関連ソフトも偽装輸出

ミツトヨ」核用測定機の関連ソフトも偽装輸出
 精密測定機器大手「ミツトヨ」(川崎市)による外為法違反事件で、同社が核開発に転用可能な三次元測定機をマレーシアに不正輸出した際、関連のソフトウエアも同時に無許可で輸出していたことが27日、警視庁公安部の調べでわかった。

 同社は、このソフトウエアが、国内販売向けのソフトウエアと同じ性能であるにもかかわらず、低性能で輸出規制には触れない商品だと表示していた。公安部は、同社の偽装工作の悪質性を裏付ける事実とみている。

 公安部の調べによると、ミツトヨは1990年代後半、ドイツの現地法人が中心となって、三次元測定機を正確に作動させるためのプログラムを組み込んだ「ジオパック」と呼ばれるソフトウエアを開発した。このソフトウエアを複製して商品化する作業は、宇都宮市内の工場で行われ、ミツトヨが三次元測定機を国内外に販売する際には通常、このソフトウエアが一緒に組み込まれている。

 外為法や関連政令では、機器類だけでなくソフトウエアについても、一定水準を超える性能の製品を輸出する際には経済産業相の許可を得るよう義務付けている。ところが、ミツトヨは、輸出向けの三次元測定機に組み込むソフトウエアが国内販売用と同じ高性能の商品であるにもかかわらず、輸出規制に該当しないことを意味する「アンコントロールド」と表示。国内販売用より性能が低いよう偽装していた。

 同社社長らの逮捕容疑となった2001年10月と11月のマレーシアへの無許可輸出でも、三次元測定機にこのソフトウエアが組み込まれていたことが確認されており、同社のマレーシア現地法人を経て、「核の闇市場」とかかわりのある現地企業に流れていた。

 また、公安部では、同年にタイや中国に輸出された三次元測定機について、組み込まれたソフトウエアを調べた結果、輸出規制に該当する性能を持っていることを確認したという。

 このソフトウエアについて、同社の担当者は外部に、日本製ではなくドイツ製だと説明していたという。公安部では、ドイツから正規に輸出されたことを装うことで、日本の法令に抵触していないことを主張する意図があったとみている。