ヤフオク登録会社破産、被害者に異例の全額補償

ヤフオク登録会社破産、被害者に異例の全額補償
 国内最大のインターネット競売サイトを運営する「ヤフー」(東京)は、サイト上に登録していた宝飾品販売会社が破産を申し立てたために商品を受け取れず、返金も受けられなくなった落札者全員に対し、金銭救済を図ることを決めた。

 同社が把握しているのは約300件、総額約2000万円だが、破産申し立て代理人によると、約450件、約9000万円に上る。全件、全額対象の補償は異例。

 破産を申し立てたのは、大阪府内の有限会社と女性代表(36)で、負債総額は約9500万円。

 ヤフーなどによると、代表は2002年からオークションに個人出品。「香港直輸入」と宣伝し、落札者から送金を受け、指輪やブレスレットなどを郵送する受注販売で人気を集めた。

 05年2月、ネット上の「店舗」となるストア登録したが、秋以降、「商品が届かない」との苦情が殺到。ヤフーは同年11月、ストア登録を取り消す「強制退店」とした。落札額は1件数万〜十数万円が大半で、代表はヤフーに「納品か返金する」としていたが、今年6月に連絡が途絶えた。

 ヤフーは、ストア登録の際、与信審査をしたうえ、大量出品できるソフトを貸与するなど支援しており、登録後の落札者について救済策を検討。年1件に限って落札額の8割(最高50万円)を補償する既存制度を拡大する特例措置として、落札件数にかかわらず1件50万円までの全額補償と決めた。ほとんどの落札者が全額返金される見込みだ。

 ヤフーは、請求を受け、登録後の落札かなどの審査をしたうえで支払うといい、宝飾品販売会社には法的措置を検討している。

 ネットオークションに詳しい岡田崇弁護士(大阪弁護士会)は「ヤフーの対応は消費者の立場から非常に評価できる。気軽にネット取引する時代だが、リスクが高いのは明白で利用には十分な注意が必要だ。競売サイト運営側も信用性を高める方向に進むだろう」と指摘している。