暴力団会長宅隣接の国有地売却、議員秘書?が入札迫る

暴力団会長宅隣接の国有地売却、議員秘書?が入札迫る
 指定暴力団工藤会の会長宅に隣接する北九州市の国有地を巡り、1999年から2001年にかけて、国会議員秘書を名乗る複数の人物が旧大蔵省(01年から財務省)に対し、入札の実施を再三にわたって迫っていたことが明らかになった。

 読売新聞の取材に対し、複数の財務省関係者は「同時期に工藤会関係者とみられる人物からも売却を求める動きがあり、工藤会側の意を酌んだ政治家からの圧力と受け止めた」と証言した。当時、財務省から相談を受けた福岡県警は「暴力団に渡る可能性がある」として、県警自身が国有地を管理する異例の措置で入札を回避し、土地は現在も県警が管理している。

 問題の国有地は、同市小倉北区内の約655平方メートル。80年代に地元の私鉄バスの回転場として貸し出されていたが、98年7月に契約が切れ、財務省は処分の検討を始めた。一方、工藤会会長は、この国有地に隣接する土地を相続などで徐々に取得し、01年3月に自宅を建てている。

 関係者の証言によると、99年7月ごろから01年ごろまでの間、出先機関である福岡財務支局(福岡市)、同支局小倉出張所(北九州市)や、東京・霞が関の本省の担当部署に、現職の衆院議員秘書参院議員秘書と、元国会議員の秘書を名乗る人物から相次いで電話が入った。その回数は、少なくとも十数回に及んだという。

 国有地の入札予定に関する問い合わせで済むこともあったが、「なぜ入札をしないのか」「入札をすべきではないか」などと、同省に一般競争入札を迫るケースが大半だった。財務省関係者は「名前を確認したら、実在する議員秘書だとわかった。土地の状況から判断して、だれが、その土地を欲しがっているかは明白で、そのために秘書らが圧力をかけてきたと受け止めた」と話している。