冷凍マグロ、怪盗30件 築地市場で被害続く

冷凍マグロ、怪盗30件 築地市場で被害続く
2006年07月29日03時00分
 東京都中央区の都中央卸売市場(築地市場)で、冷凍の本マグロの盗難事件が昨秋から30件近く相次いでいることが分かった。警視庁が今月、窃盗容疑で逮捕した市場の元卸売店員は「売って金にするつもりだった」と供述しており、背景にマグロの卸値の上昇があるとみている。盗難が頻発することから、市場内にある東京魚市場卸協同組合や警視庁は防犯ビデオを設置するなど警戒を強めている。

 逮捕されたのは、板橋区常盤台3丁目、無職渡辺弘昌容疑者(48)。築地署の調べでは7月10日午後3時半から翌日朝にかけ、市場内にある卸売業者の2階倉庫の冷凍庫から、本マグロのブロックなど12点(時価計約24万円相当)を盗んだ疑い。ブロックは1点10キロ弱で、場内の台車を使って運んでいたという。

 組合によると、冷凍マグロの盗難は昨年10月ごろから目立ち始め、これまでに27件の届けがあった。報告されていないケースもある。マグロを保管する冷凍庫は通常、開閉部の周囲を鎖で締め付けているが、この締め付けが緩い冷凍庫が狙われ、すき間から取り出されているという。

 冷凍マグロは通年で入荷されるが、漁獲規制などの影響で今期は昨年の同時期より3割程度割高になっているという。