堺市が51億円事業発注、市懇談会会長が役員の企業へ

堺市が51億円事業発注、市懇談会会長が役員の企業へ
 堺市が、「市行財政見直し懇談会」会長だった跡田直澄・慶応大教授(52)が取締役を務める企業に対し、2004年から15年契約で総額約51億円の下水道関連事業を発注していたことがわかった。

 懇談会は上下水道を含む公営企業の「外部委託推進」を盛り込んだ意見書を市長に提出していた。市は「契約時、教授が発注先の役員だという認識はあったが、教授から特別な働きかけなどはなく、市として配慮したこともない。今回の契約が問題とは考えていない」としている。

 市などによると、発注したのは、発酵菌を使って下水汚泥を肥料化する事業。市が04年1月に事業者を公募し、4社の中から、処理費や実績など38項目を点数化して最高点となった「日本エコロジーシステム」(大阪市)を選び、同社が同事業のための特定目的会社として市内に設立した「ジェイ・イ・エス」に発注した。

 事業は今年4月から本格稼働している。

 跡田教授は、環境保護活動などに取り組むNPO法人「国際平和基金」(堺市)の理事(現・理事長)だった02年2月〜04年2月に懇談会会長を務めた。この間の02年6月、同基金から特定の発酵菌の使用権を譲り受けたエコ社の取締役に就任。任期中にエコ社が公募で選ばれ、ジェイ社の取締役も設立当初から兼務している。

 市によると、懇談会の意見書には法的な拘束力はない。市下水道部は「市の判断で(下水汚泥の肥料化)事業の民間発注を決めた」と説明している。同基金、エコ社、ジェイ社はいずれも「跡田教授に役員報酬などは支払っていない。堺市の発注事業について仲介を依頼したこともない」としている。