ロッキード事件の端緒、ニクソン献金の調査だった

ロッキード事件の端緒、ニクソン献金の調査だった
 田中角栄元首相が逮捕されたロッキード事件が暴かれる端緒となったのは、ウォーターゲート事件で失脚したニクソン米元大統領への献金に関する、米証券取引委員会(SEC)の調査だったことが、当時のSECや米上院関係者の証言などで明らかになった。

 SECが不正献金を疑い、ロッキード社などの海外口座を調べた結果、海外での不正工作を把握。

 調査を引き継いだ米上院小委員会の秘密公聴会で、ロ社の贈賄先として田中元首相の名前が浮上し、公開の公聴会に切り替えた1976年2月、日本をはじめ世界15か国での工作が明らかにされた。

 ロ事件をめぐっては、独自のエネルギー政策を打ち出していた田中元首相が米側から狙い撃ちにされたという「陰謀説」もあるが、当時の米関係者は否定している。

 事件発覚の経緯の詳細が明らかになったのは、これが初めてのことだ。

 関係者の証言などによると、SECは当初、ニクソン元大統領(74年辞任)陣営に対する米企業の不正献金を疑い、75年はじめ、米企業の海外口座を一斉に調査した。この結果、不正献金は見つからなかったが、ロ社が海外口座に巨額の秘密資金を隠し、海外で航空機を売り込むためのわいろなどに充てていたことを突き止めた。

 調査を引き継いだ米上院多国籍企業小委員会は、ロ社の不正工作は日本のほか、イタリア、オランダ、サウジアラビアインドネシアなどで行われていたことを把握。

 このうち日本では、丸紅の指示で、全日空がロ社の新型ジェット機「トライスター」を導入する見返りとして、田中元首相に多額の現金が渡った事実が浮かび上がった