日経広告局社員をインサイダーで立件へ 東京地検

日経広告局社員をインサイダーで立件へ 東京地検

≪利益数千万円か≫

 日本経済新聞社(東京都千代田区)の広告局社員によるインサイダー取引疑惑で、証券取引等監視委員会証券取引法違反罪で、この社員を東京地検特捜部に告発する方針を固めた。これを受け、特捜部は社員を同罪で立件する見通し。

 同社の説明や関係者によると、この社員は東京本社広告局に勤務する30代前半の男性。この男性社員は昨年夏から今年2月にかけ、企業が同紙に掲載を申し込んだ法定公告で、前年度決算の内容や株式分割の基準日などに関する内部情報を得て、公表前の掲載直前にこの企業の株式を購入した疑いが持たれている。

 男性社員は掲載直後、株価が値上がりしたことを確認し、株式を売り抜けていたという。こうした取引を10以上の銘柄で繰り返していたとされ、利益は数千万円に上っていたという。

 この疑惑をめぐっては、証券監視委が2月、日経新聞東京本社に立ち入り調査に入るとともに、男性社員らから任意で事情聴取を始めた。証券監視委と特捜部は、不正利益が多額に上ることなどから刑事責任追及が必要と判断したとみられる。

 日経新聞社は、証券監視委の調査を受け、社内調査に着手。それに対し、男性社員はインサイダー取引を認めたという。2月24日には蔭山孝志常務(広告担当)が引責辞任し、杉田亮毅社長らの報酬全額を3カ月カットすることなどを発表した。