福島談合、知事の弟ら3人逮捕…東京地検

福島談合、知事の弟ら3人逮捕…東京地検

捜索をしようと佐藤祐二容疑者宅を訪れた東京地検の係官(25日夜) 福島県発注の下水道整備工事を巡る談合事件で、東京地検特捜部は25日、佐藤栄佐久福島県知事の実弟で、紳士服縫製販売会社「郡山三東スーツ」の社長・佐藤祐二容疑者(63)、元県土木部長・坂本晃一容疑者(65)ら3人を競売入札妨害(談合)の疑いで逮捕し、同社や祐二容疑者の自宅などを捜索した。

 祐二容疑者が、受注した中堅ゼネコン「東急建設」側から、受注調整の謝礼として現金約500万円を受け取った疑いのあることが判明。親族が逮捕されたことで、佐藤知事の進退問題に発展するのは必至だ。

 2人のほか逮捕されたのは、東急建設東北支店の元副支店長・門脇進容疑者(63)。関係者によると、祐二容疑者は調べに対し談合への関与や謝礼の受領を否定したという。

 調べでは、祐二容疑者らは、空調設備管理会社社長・辻政雄容疑者(59)(25日に談合罪で起訴)らと共謀し、県が2004年8月に実施した阿武隈川上流流域下水道整備工事の指名競争入札で、東急建設と地元建設大手「佐藤工業」(福島市)の共同企業体に落札させるよう談合した疑い。

 これまでの調べで、東急建設側が受注調整を依頼した見返りに、辻容疑者側に計約2000万円を提供していたことが判明。その後、同社関係者の供述などから、この2000万円は8月に自殺した同社東北支店長が、1500万円を辻容疑者に、500万円を祐二容疑者に分けて渡していた疑いが浮上した。このため特捜部では、500万円は、祐二容疑者が辻容疑者らから談合の経緯などの報告を受け、落札予定業者を承認した謝礼だった疑いが強いと判断したとみられる。

 一方、坂本容疑者は、県土木部の有力OBの立場を利用し、祐二容疑者らが談合で決めた落札予定業者を当時の県幹部に伝える役割を務めていた。連絡を受け、県幹部は事前に入札参加業者を絞る「予備指名」で、落札予定業者を指名していた疑いが強いという。

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 特捜部は25日、佐藤工業の八巻恵一部長(47)を処分保留で釈放した。