福島談合 知事支援者ら逮捕 2人、入札仕切る 東京地検

福島談合 知事支援者ら逮捕 2人、入札仕切る 東京地検

 福島県発注の下水道工事で談合したとして、東京地検特捜部は4日夜、刑法の談合容疑で、談合の仕切り役だった同県郡山市の空調設備会社「ツヂメインテナンス・エンヂニアリング」社長、辻政雄容疑者(59)ら2人を逮捕。福島市の江花亮・元同県土木部長(70)の自宅など数カ所を家宅捜索した。水谷建設脱税事件に端を発した「福島ルート」は談合事件に発展。特捜部はこれを突破口に、同県を舞台にした複数の疑惑について全容解明を進める方針だ。

 ほかに逮捕されたのは県内最大手の建設会社「佐藤工業」(福島市)の営業統括部長、八巻恵一容疑者(47)。佐藤工業本社と佐藤勝三会長(66)の自宅も捜索対象となった。佐藤会長は3日、任意聴取されていた。特捜部は今後、江花元部長や佐藤会長の関与の有無についても調べるとみられる。

 関係者によると、辻容疑者は、佐藤栄佐久・同県知事(67)が昭和55年に参院選に出馬した当時から選挙を支援し、知事当選後は「知事秘書」の名刺を持つなど知事との親交を誇示していた。知事の実弟(63)とも親密とされる。

 調べによると、辻容疑者らは共謀。福島県が平成16年8月20日に実施した阿武隈川の流域下水道整備工事の指名競争入札について、中堅ゼネコン「東急建設」(東京都渋谷区)と佐藤工業共同企業体(JV)に落札させるため、同月中旬に仙台市青葉区東急建設東北支店などで、入札に参加した14JVが東急建設などのJVよりも高い金額で入札するよう協定し、談合した疑い。

 辻容疑者は談合を仕切った謝礼として、東急建設側から謝礼金を受け取っていたことがすでに判明している。東急建設などのJVは同工事を8億1690万円で落札しており、辻容疑者に渡った現金は落札額の3%前後とみられる。

 福島県発注工事をめぐっては、木戸ダム本体建設工事やあぶくま高原道路関連工事でも談合などの疑惑が浮上している。