ATM振り込み、現金10万円まで 金融庁

ATM振り込み、現金10万円まで 金融庁
2006年08月02日23時55分
 金融機関の現金自動出入機(ATM)で1回に現金を振り込む限度額が07年1月、現行の「200万円以下」から「10万円以下」に引き下げられる。金融庁が金融機関に窓口での本人確認を義務づける基準を厳しくするためだ。ATMから自分のキャッシュカードを使って振り込む場合は現状と変わらないが、現金で一度に10万円超を振り込む場合はATMは使えず、窓口での手続きが必要になる。犯罪などによる不正資金の洗浄(マネーロンダリング)を防ぐのが目的だが、利用者には不便も予想される。

 金融庁が2日公表した金融機関本人確認法の政令改正案によるもので、一般から9月1日まで意見を募り、来年1月4日から施行する。

 現行でも預貯金の口座開設の際や、200万円を超す現金を振り込む場合はATMが使えず、窓口で運転免許証などによって本人であることの確認が必要になる。新ルールでは10万円超からこれを適用する。ATMで通帳やキャッシュカードを使って自分の口座から送金する場合は、口座開設時にすでに本人確認を終えているとして、引き続き規制対象から除かれる。ただ、キャッシュカードを発行した金融機関とは別の金融機関のATMを使って送金する場合は規制対象となる。

 手元の10万円超の現金をどうしてもATMで送金したい場合は、自分の口座があれば、そこにいったん預け入れた上で相手先に送金するか、手数料がかさむのを覚悟して10万円以下の現金送金に小分けにする方法が考えられる。

 金融機関での振込手数料は、窓口の方がATMより高いのが一般的。来年からは、これまで多くの利用者がATMを使っていたケースでも窓口の利用を迫られることになる。手数料負担が増える可能性が高く、金融機関側が手数料引き下げを検討することになりそうだ。窓口が一段と混雑する恐れもある。

 今回の規制強化は、資金洗浄やテロ資金の拡大を防ぐ国際組織、金融活動作業部会(FATF)の01年の勧告に基づく。加盟国に、1000ドル(11万円程度)または1000ユーロ(14万円程度)超の電信送金で送金者の本人確認ができる態勢を06年末までに設けるよう求めていた