未公開株めぐり15億円所得隠し 東京国税局、投資会社など告発

未公開株めぐり15億円所得隠し 東京国税局、投資会社など告発

 ベンチャー企業の未公開株を売却して得た所得約15億円を隠し、約4億数千万円を脱税したとして、東京国税局が投資会社「亀山社中」(東京都中央区)など計4社を法人税法違反罪で、証券ブローカー(59)を所得税法違反罪で、それぞれ東京地検に告発していたことが6日、分かった。
 未公開株は会社法(旧商法)で定められた正規の手続きを経ずに印刷され、証券ブローカーに売却されており、株の売却金はベンチャー企業粉飾決算の原資になった疑いがあるという。


 未公開株の勧誘・販売が問題となっている中、発行会社自らが法に抵触する株券を売却し、販売業者の脱税事件が発覚したことで、“未公開株市場”の危うさが浮き彫りになった。


 関係者によると、証券ブローカーは平成14年から16年にかけて、ベンチャー企業の未公開株を購入した上、亀山社中など4社に転売した売却益を申告せず、脱税した疑い。4社は「将来上場する可能性がある」などと持ち掛けて40万〜60万円で販売した上、経費を水増ししたり未公開株の売り上げの一部を申告から除外するなどして脱税した疑い。


 ベンチャー企業は、数千株を証券ブローカーに売却したが、会社法で定められた取締役会の決議や、発行済み株式総数の変更をしていなかった。また株券の売却金は、会計基準に反して資本ではなく収益として財務諸表に計上し、粉飾していたという。


 このベンチャー企業は、汚染した水を薬品などを利用せずに浄化する装置を開発している。


 ベンチャー企業は「1〜2年後に上場を目指している」と説明するが、上場の幹事社として同社が名前を挙げた証券会社は「幹事社にはなっていない」と否定している。産経新聞の取材に対し、証券ブローカーは「東京国税局の調査を受けたのは事実。修正申告に応じた」と話している。


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【用語解説】未公開株


 証券取引所や店頭に上場されていない株式。未公開株の譲渡には、取締役会の承認など制限がある場合が多く、一般に株券が出回ることはない。しかし近年、証券会社ではない業者が、「将来、上場する」「値上がりが期待できる」などと未公開株を勧誘・販売し、トラブルになるケースが増加。国民生活センターによると、平成17年度の未公開株に関する苦情相談は1296件で、前年度の222件に比べて約6倍になった。