酒販組合に支払い命令 年金破綻の危険性説明なし

酒販組合に支払い命令 年金破綻の危険性説明なし

 全国小売酒販組合中央会が財政悪化のため年金支給をやめたのは不当として、死亡した夫の年金受給権を相続した女性が、同会に約2300万円の支払いを求めた訴訟の判決が24日、東京地裁であった。瀬木比呂志裁判長は「同会は平成13年7月の時点で年金制度が破綻(はたん)する恐れがあることを予想できたのに、女性に説明していなかった」とし、同会に約1000万円の支払いを命じた。
 瀬木裁判長は、「年金制度破綻の可能性が予想できた場合、適切な説明をしなければ債務不履行に当たる」と判断した。

 判決によると、同会は女性に、相続した年金の受け取り方法として、分割か一括かの選択を指示した。女性は14年11月、分割を選択したものの、同会は16年5月、年金制度を廃止。女性は一括よりも約1000万円少ない額しか受け取れなかった。

 同会の年金事業をめぐっては、元事務局長が14−15年、運用に失敗して約144億円を回収不能にしている。