500億円超詐取、立件へ 健康食品販売会社、破綻後も投資話

500億円超詐取、立件へ 健康食品販売会社、破綻後も投資話

 東京都内の健康食品販売会社が、破綻(はたん)後も「出資金が1年で倍になる」などと実体のない投資話で会員を募り、1万人以上から500億円超を詐取した疑いが強まったとして、警視庁と静岡、福岡両県警は詐欺容疑で、同社会長ら十数人を立件する方針を固めた。被害額は約400億円を詐取したとされる近未来通信事件を上回る。

 来年は「2007年問題」といわれる団塊世代の退職が始まり、悪徳業者は団塊世代の退職金を狙っているとされる。警察当局は類似の悪質商法の積極的摘発で、国民に注意を促す。

 この会社は、リッチランド(北区、業務停止中)。集めた資金のうち約100億円は海外事業への投資として、欧州の銀行などへ送金していたことが、外交ルートなどを通じた銀行側への照会で判明。しかし、投資実態はほとんどなく、国内への利益の送金も確認されていない。マネーロンダリング資金洗浄)や隠匿の疑いがあり、解明を急ぐ。

 調べでは、同社の会長らは健康食品などを会員に買い取らせ、「会員を勧誘して販売すればリベートが得られる」と、マルチ商法で会員を拡大し多額の現金を集め、沈没船の財宝引き揚げや「東欧の不動産投資で利益が出る」などと、事業実態のない投資話で、破綻後も多額の資金を詐取した疑いが持たれている。

 平成16年ごろまでは多くの新規会員を勧誘できたため、新規会員の出資金を他の会員の配当に充てていた。新規会員が減少した同年2月ごろから配当金や商品仕入れ先への支払いが滞り、17年春ごろに破綻状態に陥った。しかし、その後も財宝引き上げや不動産投資など実体のない海外での投資話を宣伝。芸能人らを招いたパーティー説明会を開いて新規会員の募集を続け、出資金と称し現金を詐取していた。

 同社は化粧品などの販売を目的に平成11年に設立。警視庁は昨年6月に出資法違反容疑で家宅捜索し、管内で被害者の多い静岡、福岡両県警と合同捜査本部を設置し、裏付けを進めていた。